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米国における家族引き離しの歴史。終わらないトラウマはどう影響しているのか? - The Conversation

Immigrant children play inside the Catholic Charities RGV in Texas. AP Photo/David J. Phillip

 

 (元記事: https://theconversation.com/the-long-history-of-separating-families-in-the-us-and-how-the-trauma-lingers-98616)

June 26, 2018 6.42am EDT

※この記事は個人的に翻訳したものです、記事に沿って翻訳しているため、投稿時間と記事内の時系列は違うことをご了承ください。

 

 

ここ数週間の間で、不法移民に対してのトランプ政権の"ゼロ・トラレンス"政策によって約100組もの家族が引き離されている。報道においてこの政策は既に停止されたと言われているが、いつこれらの家族が再会できるのかは未だ不透明である。また、10代の子供達が保護施設に入れられる可能性があるというニュースや、引き離された子供が施設のシェルターを抜け出し行方不明になったニュースもある。

子供達が家族から引き離されるのはこれが初めての出来事ではない。2~3つ挙げるとすれば、奴隷としてやって来たアフリカ系アメリカ人や、涙の道を渡ったネイティブアメリカン、強制収容されている日系アメリカ人らにも排斥や隔離は行われていた。

積極的に児童保護調査に注力しており、子供達が彼らの親から引き離される排斥の不要性を検証している学者として、筆者はこのような政策の影響は、多くは元に戻るまでに生涯をかけて多くの時間がかかることを意識させられざるを得ない。

 

 

 

引き離された家族の歴史

 

奴隷制の時代の間、両親から引き離された子供達は日常的に人身売買されていた。奴隷の所有者に法的な制約は存在せず、また所有者が奴隷に見合う価値を定め、処分していた。

 

アンドリュージャクソン大統領がインディアンの移動を許可した後は州が認可した刑罰隔離政策が1800年代に存在していた。多くは10代20代のアメリカ先住民は強制的に家や共同体から引っ張り出され、特別に作られたという1マイル先の"インディアンテリトリー"に歩いて向かったが、旅の途中で1000人もの死者が出た。"涙の道 (Trail of Tears)"と名付けられている。それにもかかわらず政府はこの政策を進め、アメリカ先住民の人々は親から離れ寄宿学校で教育を受けるよう命じた。これはアメリカ先住民の家族を子供の距離を作るという手段であり、彼らはゆっくりと先住民の価値観から離れていった。学者は今、これを強制的な同化政策であると説明する。この政策は、先住民らの親が寄宿学校での教育を拒否する権利が与えられたインディアン児童福祉条約 (the Indian Child Welfare Act of 1978)が可決するまで施行された。

 

日系アメリカ人の強制収容もまたアメリカ政府の排他的な政策の一つだった。ルーズベルト大統領はアメリカ国民である日系人を強制的に排除しキャンプに閉じ込めた。子供達や赤ん坊でさえも彼らの親と共にキャンプへ配属された。

 

今日も行われているように、これらの隔離政策は否定的な面や長期的なトラウマを十分な考慮のないまま、頑固として守られ合理化されている。

 

 

長期的な影響

 

奴隷制の間に隔離された家族の影響に関する最近の調査では、世代を超えたトラウマに焦点を置いている。学者のJoy Degruy氏は彼女が世間に大きく影響を与えた著書"Post Traumatic Slave Syndorome"にて、今もなおアフリカ系アメリカ人の家族には歴史的な衝撃があると説明する。

複数の世代に渡るトラウマに関する調査に多くの時間を費やしてきた彼女は、これは「常識」であり、奴隷制に耐えた数百もの人々はこのような怒り、暴力や恥などの行いを現在の世代に至るまで伝えていると付け足した。

学者らはまた、アメリカ先住民の寄宿学校における影響についても調査した。彼らの発見には寄宿学校における虐待や、子供達のその後にどのような顕著なものがあったのかということが含まれていた。 子供の頃、彼らの多くは鬱病を患っていることが発見された。また調査は、寄宿学校での辛い幼年時代の経験は、大人になった後にもストレスを対処する時の困難に結び付けられている。

 

児童養護施設や里親制度において、学者は複数の居場所、子供達が暮らす場所から別の場所へ移動することによる精神的なダメージについて長期間の調査を行なっている。滞在場所が不安定な経験をもつ子供は彼らの親と離れた後、深いストレスや居場所を失った苦しみに悩まされる。

 

引き離しにおけるトラウマは身体的、精神的にも大きなダメージを大人になった後にも残す。これは本質的に、様々な手段によって子供達の健康な発達を妨げているということだ。

 

 

2018年の家族引き離し

 

もしも子供が愛され安全に感じ、適切な手段や対処を得ることができる子育てに良い環境で育った場合、幼年時代の不利な経験は実際よりかなり小さく見られてしまうかもしれない。

これらの過去の比較は私達を今日何が起こっているのかという問題に引き込んでくれる。トランプ大統領の発したこれ以上の引き離しを止めるよう命じたが、すでに始まってしまった傷を元に戻す、ということではない。

 

 

Children form a line, as undocumented immigrant families are released from detention in Texas. Loren Elliott/Reuters 

 

 

 

 

 (元記事: The long history of separating families in the US and how the trauma lingers

https://theconversation.com/the-long-history-of-separating-families-in-the-us-and-how-the-trauma-lingers-98616)